VCEとATAR
オーストラリアの大学に進むには、高校の修了資格VCEを取り、ATARという順位を得る必要があります。仕組みが日本と違うため、最初に全体像を押さえておくと、科目選択の判断がしやすくなります。
最終更新:2026年9月14日
VCEとは
このセクションで分かること:VCEの位置づけと、日本の制度との違い。
VCE(Victorian Certificate of Education)は、ビクトリア州の高校修了資格です。Years 11・12 で取ります。
| 学年 | 課程 |
|---|---|
| Prep – Year 10 | Victorian Curriculum F–10 |
| Years 11 – 12 | VCE / VCE VM(Vocational Major)/ VCE VET |
出典:ビクトリア州教育省「Standard application - secondary school」(2026年9月11日確認)/VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)「VCE Administrative Handbook — VCE」(2026年9月11日確認)
日本の高校と大きく違うのは、必修がほとんどないことです。必修は Years 11・12 の English だけで、それ以外は本人が選びます。各校には進路と科目選択を相談できる career and course counsellors がいます。

科目とユニットの構造
このセクションで分かること:ユニットの数え方と、どれが進学に効くか。
1科目は Units 1〜4 に分かれ、各ユニットが1セメスターです。
| ユニット | 通常の学年 | ATARへの影響 |
|---|---|---|
| Units 1・2 | Year 11 | 寄与しない |
| Units 3・4 | Year 12 | ここが ATAR に寄与します |
出典:ビクトリア州教育省「Standard application - secondary school」(2026年9月11日確認)/VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)「VCE Administrative Handbook — VCE」(2026年9月11日確認)
科目は90以上あり、9つの学習領域に分かれています。英語(4科目)、英語以外の言語(40以上)、理科(5)、数学(5)、テクノロジー(5)、芸術(10)、人文(17)、ビジネス(5)、保健体育(3)です。
修了の要件
このセクションで分かること:VCEを修了したと認められる条件。
VCAAが定める修了要件は次のとおりです。
- 要件1
16ユニットで satisfactory result(S)を得る
- 要件2
うち3ユニットは English グループから
Units 3・4 のシーケンスを含んでいる必要があります。
- 要件3
さらに3つの Units 3・4 シーケンス
English グループからの追加シーケンスを含めてもかまいません。
出典:VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)「VCE Administrative Handbook — VCE」(2026年9月11日確認)
EALという選択肢
このセクションで分かること:英語を母語としない生徒のための科目。
EAL(English as an Additional Language)は、英語を母語としない生徒のための英語科目です。EALはEnglishグループに含まれるため、VCEの英語要件を満たすのに使えます。州教育省は、留学生の多くがEALを選ぶと案内しています。
なお、English と EAL は equivalent studies として扱われるため、同じユニットレベルではどちらか一方しかカウントできません。
出典:VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)「VCE Administrative Handbook — VCE」(2026年9月11日確認)
study score
このセクションで分かること:科目ごとの成績が、どう数値化されるか。
study scoreは科目ごとの成績を表す数値です。ATARの材料になります。
範囲
0〜50
平均
30
大半が収まる範囲
23〜37
出典:VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)「VCE Administrative Handbook — VCE」(2026年9月11日確認)
算出の仕組みはこうです。各科目の素点を州平均と州標準偏差で標準化し、重み付けして合算したうえで順位づけし、平均30・標準偏差7の尺度に変換します。つまり、絶対的な点数ではなく、州全体のなかでの位置を表しています。
study score を得るには、次の2つが必要です。
- 当該科目で2つ以上の graded assessment を達成すること
- 同一年度に Units 3・4 の両方で S(satisfactory)を得ること
成績の表記は A+ から E、または UG(ungraded)です。評価方法は、試験、筆記課題、口頭発表、実技、授業内の課題など科目によって異なります。
ATARの算出
このセクションで分かること:大学出願に使う順位が、どう決まるか。
ATARのもとになる aggregate(集計点)は、次のように組み立てられます。
- 1. 対象となる English の最高 scaled study score
- 2. 次点3つの scaled study scoreここまでの4つを primary four と呼びます。
- 3. 5科目め・6科目めの scaled study score を、各10%まで加算最大2つまでです。
出典:VTAC(ビクトリア州高等教育入学センター)「ATAR」(2026年9月11日確認)
ATARを取得するには、acceptable combination で最低4つの VCE study scoreが必要です。aggregate の範囲は0から、例外的なケースで210を超えることもあります。
IBや他のビクトリア州のYear 12資格には、notional ATAR が算出される場合があります。
★ VCE VM ではATARが出ません
このセクションで分かること:科目選択で最も注意が必要な分かれ道。
州教育省も、留学生に向けてはっきりと注意を出しています。
The VCE VM will likely not lead to an Australian university or career pathway for international students.
VCE VM は職業教育に重点を置いた課程で、それ自体に価値があります。ただ、オーストラリアの大学進学を考えているのであれば、選ぶ課程が違います。科目選択の時点で、学校の career and course counsellors とよくご相談ください。
| 項目 | VCE | VCE VM |
|---|---|---|
| study score | 付く | 付かない |
| ATAR | 算出される | 算出されない |
| 最低ユニット数 | 16ユニット | 16ユニット |
| 費用 | — | VETを含むため追加の授業料と教材費が発生しうる |
出典:VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)「VCE Administrative Handbook — VCE」(2026年9月11日確認)/ビクトリア州教育省「Standard application - secondary school」(2026年9月11日確認)
大学への出願(VTAC)
このセクションで分かること:ATARを取ったあとの流れ。
ビクトリア州の大学への出願は VTAC(Victorian Tertiary Admissions Centre)を通じて行います。日本のように大学ごとに受験するのではなく、志望を順位づけして一括で出願する仕組みです。
- 志望は最大8件まで、順位をつけて登録する
- 締切前と change of preference 期間中は、何度でも変更できる追加・削除・並べ替えが自由です。
- 1ラウンドにつき、オファーが出る志望のうち最上位の1件だけが提示される
出典:VTAC(ビクトリア州高等教育入学センター)「ATAR」(2026年9月11日確認)
志望の順位づけが結果を左右するという構造は、出願時に希望校を約6校選ぶ仕組みと似ています。ビクトリア州では、進学の場面でも「どこを第1希望にするか」より「8件をどう組むか」が効いてきます。
ターム留学では取れません
このセクションで分かること:制度の選び方が、進学に与える影響。
上級学年の Term 4 の授業週数が短いのは、この試験期間のためです。Year 9 の Term 4 は11週ですが、Year 10 は8週、Years 11・12 は7週になります。学年別の週数と費用は費用のページにあります。
「学校生活を体験する」ことが目的ならターム留学、「VCEを取って進学する」ことが目的なら正規留学。この2つは、費用の大小ではなく目的で選ぶものです。制度の違いは制度の全体像にまとめています。
よくある質問
よくある質問
ATARは何点満点ですか。
ATARは点数ではなく順位です。最高値は99.95で、100は存在しません。30.00未満は「less than 30」としてまとめて報告されます。
study scoreはどのくらいが平均ですか。
VCAAは、study scoreを平均30・標準偏差7の尺度に変換すると公表しています。0から50までの範囲で、大半は23から37に収まります。
英語が母語でなくても不利になりませんか。
EAL(English as an Additional Language)という科目があり、Englishグループに含まれるためVCEの英語要件を満たせます。州教育省は、留学生の多くがEALを選ぶと案内しています。ただし受講資格に条件があります。
Year 10から始められますか。
州教育省は、多くの学校でYear 10から一部のユニットを始められると公表しています。ATARに寄与するのはUnits 3・4で、これは通常Year 12で履修します。優秀な生徒がYear 11でUnits 3・4を始める場合もあります。
日本で取った単位は認められますか。
州教育省は、母国や他のオーストラリアの教育機関での既修学習について credit recognition を申請でき、認められれば同一科目の再履修が不要になる場合があると公表しています。可否は個別の判断になります。
学校によって取れる科目は違いますか。
VCEの科目は90以上ありますが、各校が実際に開講するのは20から30科目です。生徒数によって変わります。学びたい科目が決まっている場合は、学校選びの段階で開講状況をご確認ください。
出典と作成時点
このページの内容は、下記の公表資料に基づいています。最終確認日は2026年9月14日です。修了要件と算出方法は改定されることがありますので、科目選択の前に各機関の公式ページでご確認ください。
- VCAA(ビクトリア州カリキュラム評価機構)VCE Administrative Handbook — VCE2026年9月11日確認
- VTAC(ビクトリア州高等教育入学センター)ATAR2026年9月11日確認
- ビクトリア州教育省Standard application - secondary school2026年9月11日確認
VCEの成績は、学校を選ぶうえでの唯一の指標ではありません。学校の選抜方式や生徒の構成によっても動きます。英語サポート、通学のしやすさ、学びたい科目の開講状況もあわせてご検討ください。